【介護業界に起業参入を目指したい女性の方へ】

2000年度に介護保険制度が施行されてから、営利を目的として民間企業の新規参入が認められるようになりました。大手企業としては、医療事務のニチイ学館、教育事業のベネッセ、警備会社のセコムが代表的と言えるでしょう。
 高齢者向けの市場は、「医療・医薬」「介護」「生産産業」の事業分野に分かれており、2025年には、マーケットとしての市場予測で101.3兆円規模になるだろうと試算されています。介護分野での市場予測では、18.3兆円の規模と予測されています。
 障害者分野の市場規模として平成25年度の厚労省の調べによると、9,314億円で年々、少しずつ規模が拡大しています。

 医療・医薬の分野に関しては、医療保険制度の枠組みの中で国民が医療費を自己負担していますが、1997年までは1割の自己負担でよかったのですが、2003年4月から3割負担に変わりました。介護保険費も同じく年々、負担額が増加する傾向にあります。
 2025年問題として、団塊の世代が75歳以上を迎える時代となり、若い世代1人が高齢者4人を支える逆ピラミッド型の社会現象が起きます。
 現代社会の1つとして、女性の社会進出に伴い女性の社会的地位の向上に伴って、働きながら子育てする女性が多くなりました。法人内や企業の中に保育所を設けるなど、世の中のニーズと共に介護業界でも同様の現象が生まれ、ニーズが多様化しています。

それらのことを踏まえて大きな市場である介護業界に、新規参入する法人や企業が増えています。しかし、ここで抑えていただきたいことは、財政的な破綻状態であることから、年々、介護報酬が削減されていることにあります。

簡単な説明でしたが、社会の現状を押さえた上で話を進めていきましょう!

<起業したいと思ったきっかけは?>
 あなたが起業したいと思ったきっかけは何でしょうか?起業に向けて、一番大切なことは、「軸を作る」ことから考えなくてはなりません。動機がはっきりしていないと、軸がぶれてしまう為、直ぐに折れてしまいます。「社長になりたいから~」「お金を儲けたいから~」では、話になりません。例えば、「家族の中に障害者を持った子がいて、家の近くに子供のニーズに合った施設がないから作りたい!」と言えば、誰もが納得のいく「明確な目的」になります。まず、「目標の明確化」して誰を対象にするのか、決めましょう!
 次に、「誰を対象者にするのか?」決めなくてはなりません。働きながら介護をするのが大変だから、「わたしの祖父母の為の家事援助を手伝って欲しい!」「仕事を抜けて通院介助をすることが難しい」といった対象者を決める必要が出てきます。
 「う~~ん、何となく障害者と関わってみたいから・・・。」と漠然としていると、何をしたいのか見えてきません。「何故、〇〇分野に携わってみたいのか?」と聞かれた時に、しっかりとした意思を持って直ぐに答えられるようなりましょう。
 起業に向けて最初に必要なことは、「何で起業をしたいのか?」「何を目的としているのか?」「何を対象としているのか?」・・・。「人」「物」「お金」「時間」の中からより具体化して焦点を当てることがポイントになります。
 やりたいことが見つかると、自ずと「理念」「方針」が定まります。理念は、設立した時の気持ちの表現でもあり、ずっと受け継がれていく考え方の根幹となる部分です。

<想いを実現する為には何が必要なのか?>
 あなたの中で持っているビジョンを実現化するには、いくつかのプランを用意する必要があります。「グループホームを作りた~い」では、起業するには厳しいでしょう。
 また、起業してから「何をどうしていくのか?」「初年度はどうする?3年後は?5年後は?」といった戦略的な方針が求められます。
【起業する為に必要な戦略】
1)理念・方針
あなたの想いを文章で具体化かつ明確化しましょう。また、「利用者がどのようになって欲しいのか?」「利用者は、何を感じ、何を望んでいるのか?」考えながら、あなたの目線ではなく、利用者の目線で検討して下さい。
※ 利用するのは、利用者です。

2)法人・企業
市場参入しているのは、社会福祉法人NPO法人、株式会社などがあります。

社会福祉法人:資本金1,000万円が必要になります。その代わり、法人税が免除されるなどの優遇措置が受けられるのが強みでしょう。また、法人格としての地位が保障されています。役員を最低15名は、配置しなければならない。

NPO法人:0円からの立ち上げが可能です。法人格である為に一定の地位は確保されます。また、法務局への登記は無料で登記できます。また、役員報酬にかなりの制限があります。役員を最低4名の配置だけでいけます。

③ 株式会社:資本金を0円とすることは可能ですが、定款証認手数料5万円、登記免許税15万円かかります。役員は、取締役1名配置したら問題なく、監査役を置く必要性もなくなりました。

3)事業を行う地域
事務所や施設を置く為には、事前のリサーチがかなり重要となってきます。需要が高い分、参入する業者の数も多いため、同じ地区で利用者を取り合う形になってしまいます。参入の少ない地域に焦点を当て、事業展開した方が成功する鍵の大きな1つになります。

4)実施したい事業
事業でも大きく分けて、①入所施設、②短期入所施設、③通所施設、④訪問サービス、⑤相談支援に分類されます。その中からより具体的な事業サービスに繋がっていきます。
※ 費用や人数がかからずに立ち上げ可能なのは、④⑤でしょう。

5)事業計画書の立案
事業計画書の立案は、事業を計画的に推し進めることで成功する為の大きな鍵の1つになってきます。あなたの周りの「家族」「友人」に「わたし起業していくことにしたわ!」と話をした時に、納得してもらえるのか。周囲が納得のいくまで具体性のある形に計画を立案することが大切です。自分自身だけの考えでは、見落としや具体性に欠けている可能性が高いです。また、既に事業参入している法人や企業は、かなりの数があります。その中で利用者を抱えて成功していくには、他ではあまりやっていない「独自性」「何かの分野に特化させる」「新しいサービス」を展開しなくてはなりません。
※ 必ず周囲からの意見をもらいましょう。
※ 社会の現状からはみ出している利用者の実態を調査して下さい。

6)利用者確保の方法
事業を運営していく中で、「どこに、どのように営業していいのか分からない」という壁にぶつかってしまいます。
地域包括支援センター
② 居宅介護支援事業所
③ 相談支援事業所
④ 市役所の障害福祉
⑤ ホームページの開設
⑥ ブログ・facebookなどのSNSの利用
⑦ 病院
⑧ 特別支援学校
⑨ 機関紙の発行
⑩ 市報
また、事業の事前段階として、地域交流活動(交流サロン、いきいき高齢者の集い)といった交流会を催して利用者の確保に努めるのも1つの手段かもしれません。交流活動を市報や地域の機関紙(タイムズ)に掲載してもらうことも可能でしょう。

7)組織体制
組織体制をどうするのかについては、法人や企業によって役員の人数や、事業を実施する為の最低限の人員配置基準が法律で定められているので、確保する必要性があります。また、理事会や評議員会、事務局といったものを法人では、設置しなければいけない。あなたが役員会で経営者として選出されるよう介護や経営についてしっかりと勉強して下さい。

8)起業するためにかかる費用
法人や企業の設立に関する費用については、上記で記載したので、省略させてもらいます。

【主にかかる費用】
□事務所:自宅に設置することが可能。
別の部屋を賃貸で借りることでもよい。
□施設:駐車場のついた物件(コンビニ跡地)や、一軒家を使用する。
□光熱費:水、ガス、電気
□事務費:パソコン、プリンター、インク代、コピー機(リースがよい)、シュレッダー、会計ソフト、請求ソフト、ラミネートなど
□人件費:・何人を雇用するか。
・ボーナスをどうするのか。
・手当をどうするのか。
※ 実績に応じて就業規則を見直したらよい。
□ホームページ維持費:有料のサイトを使用した場合。
FC2など無料のサイトもある。
□通信費:法人または企業団体として契約。
携帯では、掛け放題プランを申し込むと最低限の費用で収まる。
FAXは使用することが多い。
□機関紙:発行する場合。
社会保険費:週に20時間以上の勤務。
□福利厚生費:任意での入会。

※ あくまで参考として記載しましたので、金額の詳細につきましては、選ぶ物件等や就業規則で定める規定によって変わります。

 

<求められるリーダー像>
 リーダーとは、責任感あり全体を引っ張っていかなければなりません。介護の仕事に「答え」はないですが、「何が利用者から求められているのか」ということを常に考えながらの仕事になります。職員主体での方針では、利用者が離れてしまいます。利用者に寄り添い共に事業を創り上げることが大切です。
 経営や運営、方針に沿って職員を教育指導し、「安心」「安全」が求められ「信用」に繋がります。また、ワンマン過ぎると人が離れてしまう為、出来る限り「平等」な立場で「話を聞く姿勢」と「意見を取り入れる」ことが必要不可欠です。細かいところに気を配り、業務の管理や職員の管理をしていきましょう。

<成功する為の秘訣とは?>
 成功する秘訣として、「情報収集と情報の分析」にかかっていることでしょう。必要な資格を取得し、勉強して知識を学び、実際に現場で働いて勉強することが一番かもしれません。当然、最低限の介護技術も取得する必要があります。
 「社会のニーズ」「事業をする場所」「起業したい目的」をしっかり持って、軸がぶれないようにしましょう。計画的に行動したらきっと成功するはずです。成功することを祈っております。